社団法人福岡県獣医師会
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もしも今、大地震や津波、大水害などの天変地異が起こったらどうしますか?

1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震などの大地震のほか、毎年のように水害や土砂崩れが発生しています。
福岡県においても、2005年に最大震度6弱の『福岡県西方沖地震』、2017年に『平成29年7月九州北部豪雨』が発生しています。
火山列島であり、島国である日本は、天災とは常に危険と隣り合わせであると言っても過言ではないと思います。

大災害が起こったとき、人はみな恐怖におののき、パニック状態になるかもしれません。
家族の一員であるペット達も、同じように恐怖を感じ、パニック状態になっているかもしれないのです。その時あなたは、どう行動しますか…?



『 同行避難を考えていますか? 』

『 同行避難を考えていますか? 』もしも大災害が発生したら、周囲の状況を確認し、自身の安全を確保することが必要です。ペットの安全を確保するのは飼い主の責任です。被害状況や避難所にペットの飼育場所があるかなどを調べ、ペットの安全を確保します。
避難所などに避難する場合は、各市町村の災害対策本部などから指示がない限り、ペットも一緒に連れていきます。

緊急時には人命優先となります。そのため同行避難は拒否される可能性もありますから、災害が起こる前に、自分が住む地域の役場(防災課など)に、同行避難が可能であるのか、不可能であれば、餌の事などどう対応してもらえるのかを、必ず聞いておきましょう。

小鳥やハムスター・ウサギなどの小動物は、自分で餌をとることが難しい上に、外敵が多く野生では生きていけません。

カメやヘビなどの両生類や爬虫類等は輸入の物が多く、やはり野生下で生きていくのは難しいでしょうし、環境に適していた場合は、生態系を壊してしまうので、野に放すことは絶対に止めましょう。

犬の場合も、かなり遠くまで移動してしまうので、見つけることが難しくなります。 置き去りや見捨ててしまう事はしないで下さい。

猫の場合は、危険を察知すると身を隠してしまいますので、放し飼いであれば見つけることは困難です。室内飼いであっても、身を隠してしまった場合、飼い主の呼びかけに応じて出てくる可能性は低いそうです。もし災害にあって、猫が見つからなければ、フードや水を最低5日分は準備し、すみやかに避難して下さい。その後、状況が落ち着いてから保護をして下さい。

もしかしたら、何らかの理由で「一緒に生活できない!世話ができない!」などの事態が起こるかもしれません。このような場合に備え、あらかじめペットの預け先を確保し、早めに預けるといった早め早めの行動が重要です。


『 災害に備えて 〜ペットの安全対策と避難を考えましょう〜 』

今すぐやっておくべき事、これからやるべき事を掲載しています。この内容が、みなさんの心のどこかに残り、愛するペット達の為に実行していただける事を願っています。
  1. 犬と猫には、常に迷子札を着けておきましょう!
    今回のように突然、地震が起こってしまえば、危険を察知した動物は、とにかく逃げようとします。
    そのため室内飼育であっても、屋外飼育であっても、必ず迷子札を着けておきましょう。
    また、首輪や迷子札は外れてしまう可能性があるので、マイクロチップも挿入しておく方法もあります。
    ※ 迷子札は、外れたり壊れたりしない、丈夫なものを選びましょう。
    ※ マイクロチップについては、別欄をお読み下さい。

  2. ペットがいる場所が、安全かどうか調べておきましょう!
    犬・猫・小鳥類・ウサギ等の小動物類・魚類など、たくさん動物が室内外で飼育されていると思います。
    その子達が生活する場所が安全かどうか確認し、危険なものは排除しておきましょう。

    <室内飼育の場合>
    ・家具が倒れないように固定する。
    ・食器などの割れ物が飛び出さないようにする。
    ・棚の上などに割れ物を置かないようにする。
    ・ガラス飛散防止フィルムを貼る。
    ・丈夫なクレートやケージ、小屋など、ペット自身が避難できる場所を設置する。
    ・小鳥やハムスターなどのケージは、落ちないように工夫をし、また積み重ねをしないようにする。
    ※ 魚類、両性・爬虫類については、購入先の専門家に対策方法を聞いて下さい。

    <屋外飼育の場合>

    ・ ブロック塀などの塀は、壊れたり倒れる可能性があるので、その近くにつないだり小屋を置かない。
    ※ 鎖につながれた犬がパニックを起こし、塀を乗り越え首を吊る可能性もあります。
    ・屋根から瓦が落ちてこないよう点検しておくか、落ちる可能性のある場所は避ける。
    ・その他、倒れたり壊れたりするものを近くに置かない。
    ・丈夫なクレートやケージ、小屋など、ペット自身が避難できる場所を設置する。
    ・犬の場合、古くなった首輪や鎖は切れてしまうことがあるので、新しいものにかえ、普段から点検をするようにしましょう。

  3. 犬の社会化と、クレートトレーニングと、しつけをしましょう!
    ・犬の場合、トラブルや問題行動を避けるためにも、社会化を十分にさせておきましょう。
    ・犬と猫は、クレートやケージ、キャリーバックなどに入っても、おとなしく落ち着いていられるようにしておくと、パニックになっても、クレートの中に入ることによって落ち着くことができます。 また、避難時の逃走防止、外出先(車の中)・動物病院・ペットホテル・避難所などに預けられた時に、動物の不安を和らげることができます。 ペットと共に落ち着いて行動(避難)するためには、とても重要なトレーニングですから、ぜひ普段から行いましょう。
    ・「スワレ」「マテ」「よし」などの指示に従えるようにしておく。
    ・「ヤメ」の号令で止まるよう、無駄吠えをしないようにしておく。
    ・トイレが号令で、できるようにしておくと、避難時などは、とても助かります。
    ・犬の場合は、抱えあげを習慣にしておく。
    ※ 犬の社会化とは、子犬が、仲間の子犬や人間との遊び・ふれあいを通じて情緒性を育み、自分の仲間や環境を認識して、生き方の基本を身につけることです。情緒の安定した犬に育つように、子犬の時から色々な経験をさせてあげましょう。 また、成犬であっても社会化は可能ですから、諦めずに行って下さい。 犬の社会化についての話は、福岡県動物管理センターの「犬のしつけ方教室」で説明を行っていますので、詳しくはお問い合わせ下さい。
    ※ クレートトレーニングとは、動物の体が、ちょうど入るくらいの扉付の入れ物に、動物が落ち着いて入っていられるように練習することです。 
    ※ トイレの号令… 例えば「いち、に、いち、に」「ワン、ツー、ワン、ツー」「シー、シー、シー」など。
    ※ 抱えあげとは、小型犬〜小さめの中型犬であれば小脇に抱きかかえること。大きめの中型犬〜大型犬も、小脇に抱えるように前足の脇に手を入れ、上体が浮くように抱えあげること。

  4. 狂犬病予防注射と、伝染病予防の為にワクチンを受けておきましょう!
    ・犬の畜犬登録と狂犬病予防注射は、どちらも法律で決められており、畜犬登録は生涯に1回、狂犬病予防注射は生後91日以上の全ての犬に、年1回必ず受けさせなくてはなりません。
    受けていないと法律違反になります。
    ※ 日本では昭和32年以降、狂犬病の発生は見られませんが、諸外国では今でも発生しており、1年間に3万人〜5万人という多くの死者が出ています。その感染源は、アライグマやコウモリ、キツネ、スカンクなど犬だけではありません。狂犬病は、人を含め全ての哺乳動物に感染し、発症すれば治療法が無く100%死亡する恐ろしい病気です。多くの動物が輸入される日本では、いつ狂犬病ウイルスが上陸しても、おかしくない状態であることを忘れないで下さい。
    ・避難先では、ペットを病院に連れて行けるかどうかはわかりません。 避難所などでの集団生活の中で、伝染病が起こってしまったら大変なことになると思われます。 そのためにも犬と猫には、伝染病予防ワクチンは受けてさせておきましょう。
    ・災害時は、動物病院もすぐに開院できる状態かはわかりません。 そのため、持病を持っている子は特に、緊急時の応急手当や、病院との連絡手段について、獣医師と話し合っておきましょう。

  5. 不妊・去勢手術をしておきましょう。
    ・繁殖させるつもりがないのであれば、不妊・去勢をしておきましょう。 
    動物は危険がせまると、子孫を残しておこうという本能が働きます。 もし逃げ出したり、野に放されてしまった犬や猫が繁殖をくり返してしまえば、子犬・子猫がたくさん産まれ、野良犬や野良猫が増えることになり、また狂犬病が発生する可能性が非常に高くなります。 不妊・去勢は、病気予防にもなりますので、ぜひ考えて下さい。
    ※ 最近の流行犬の出産では、先天性の病気(遺伝病)を持った子や、奇形児がたくさん産まれているそうです。 これは、流行だからと、今なら売れるからと、血統書も確認せずに、安易に繁殖させすぎた結果です。 純血種を保つことは簡単ではありません。 素人繁殖は絶対にやめましょう。

  6. 家族で避難について話し合っておきましょう!
    災害時、必ずしも家にいるとは、家族全員がそろっているとは限りません。 そのため、飼い主の留守中に災害が起こった場合と、飼い主が在宅している場合の両方の対策を、家族みんなで考え、誰もが対応できるようにしておきましょう。

  7. ご近所や友人、ペット仲間と助け合える関係を結んでおきましょう!
    もし留守中に災害が起こった時、隣人や近所の方にペットを助けてもらえるかもしれません。 常日頃、地域の方とコミュニケーションをとり、犬や猫など、ペットの存在を知っておいてもらうことも必要ではないかと思います。

  8. 避難訓練をしましょう!
    ・災害時は、必ずペットと同行避難をして下さい。
    ・家庭内で、非常用持ち出し袋が取り出せるところに置いてあるか、ペットを連れて避難するのに、どのくらいの時間がかかるのかを調べておきましょう。 災害時は地域中もパニックになるかもしれません。そのため避難には、平常時よりも倍の時間、もしくは倍以上の時間を要すると思われます。 常に冷静に対応できるよう、シュミレーションしておきましょう。 また、指定されている避難所(公民館や体育館など)に、自宅から何分かかるのか、道中に危険なもの、危険な場所がないかなど、実際に歩いて確認しておきましょう。

  9. 避難所での生活を想定しておきましょう。
    避難所には、赤ちゃんから高齢者、病気の方もいらっしゃるかもしれません。 また大勢の人が避難する事になれば、ギュウギュウづめでの避難生活になるかもしれません。そうなると、人命優先と衛生面の問題から、ペットと一緒に室内での共生は難しいと思われます。 そのため、そういう事態も踏まえて冷静に対応(対処)できるよう、ペット仲間と共に考え、また各自治体の方とも、ペットと共に安全に避難生活を送るためには、どうすれば良いか、何が必要なのかなどの、話し合いをしておきましょう。

  10. 飼育頭数について考えましょう!
    避難する時には、子供やお年寄りなど家族と共に、自分や家族の荷物を持って避難しなくてはならないかもしれません。 もし、たくさんのペットを飼っていたとしたら、家族と荷物に加え、そのペット全てとペットの荷物を持って避難することができますか?
    もしもの時を考え、家族で共に避難ができる頭数の飼育を考えましょう。 また、すでに多頭飼育をしている方は十分に考え、今以上、増やさないようにしましょう。

  11. 非常時持ち出し袋を準備しておきましょう!
    ※ 主に犬・猫のものを中心に書いていますが、飼われているペットの種類や数、その他、家庭の状況に合わせて、必要なものを準備して下さい。
    ※ 非常用品は〔持ち出せるところ〕に準備しておきましょう。
    ・首輪・リード(予備に2〜3本)、胴輪(脚が抜けないもの)、金属製の鎖、畜犬登録の鑑札、狂犬病予防注射済票、予備の迷子札
    ※ 犬の場合、パニック時は首輪抜けをしたり、リードを噛み切る事もあるので、普段から首輪の点検と、緊急時は金属製の鎖を使用するか、二重首輪にして、二本のリードの装着をお勧めします。
    ※ 阪神・淡路大震災時、保護された犬が迷子札を着けていたにもかかわらず、飼い主と連絡がとれず、大変困ったそうです。そのため、迷子札には自宅の連絡先だけでなく、地域外の親戚などの連絡先も記入しておくことをお勧めします。
    ・フード、飲み水(最低5日〜1週間分 ※ 処方食の場合と、小動物類・小鳥類の餌は多めに準備する) 
    ・食器・水入れ(軽くて割れないステンレスがよい) 
    ・ペット用ケージ・クレート、キャリーバック、余裕があればサークルなど
    ・救急用品と常備薬(包帯、滅菌ガーゼ、脱脂綿、綿棒、ピンセット、傷用イソジン、持病の薬など)
    ・ペットシーツやフンの処理袋、ゴミ袋、猫用トイレ・スコップ、猫砂、消臭スプレー
    ・ペットの写真(正面・横からなど数枚)と、飼い主と一緒に写っている写真
    ・健康手帳やメモ帳(病歴やワクチン接種日、持病、薬、処方食など、ペットのあらゆる情報を書いておく)
    ・バスタオルとタオル(多めにあると便利)、毛布、ペーパータオル、サランラップ、トイレットペーパー、くし、ブラシ、新聞紙、ガムテープ、ダンボール、ペン類など
    ・臭いのついているクッションやマット、お気に入りのオモチャや、犬用ガムなどのストレス解消品
    ・アウトドア用のテント(ペットと共に避難先に入れない場合に備えて、風雨に強い丈夫なものがよい)
    ※ 非常用持ち出し袋は、同じ物を数ヶ所に分けて置いておく方がよいそうです。

以上の、11項目をあげてみました。 
この他にも、やっておく事、準備しておくこと、準備物、設置場所などは、各家庭によって様々だと思いますので、みなさんの状況に応じた防災方法を考えて下さい。

※マイクロチップとは
マイクロチップ(MC)は、直径約2mm長さ11mmで円筒型のガラスのカプセルで包まれている小さな電子標識器具です。
要するに動物の小さな小さな名札と考えて下さい。MCに書かれている番号は、専用のリーダーという装置を使って読むことができます。
リーダーをMCに近づけると、リーダーが発する電波にMCが反応して番号を送り返します。これをリーダーが感知してデータを読み取るのです。
MC自体は電源を必要としないので、電池の交換は必要なく、一度動物の体内に注入すれば一生交換する必要もありません。
MCは動物病院で獣医師に注入してもらいます。注入の方法は、一般的な皮下注射とほとんど変わらないため、動物に負担をかけることはありません。
費用などは、かかりつけの動物病院にお問い合わせください。
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